抑肝散 という 漢方薬 をご存じですか?もともとは子供に使われていたものですが、不眠の症状に効くということで現代の忙しい大人たちも服用するようになりました。睡眠薬のように依存性も低く、体への負担もあまりありません。
不眠以外にも効果がある抑肝散の効果や成分、使用方法や副作用など詳しくご紹介します。
漢方薬「抑肝散」で心穏やかに
抑肝散で肩こり解消!?
抑肝散はもともと小児の夜泣きや癇癪(かんしゃく)に使用される漢方でした。神経の高ぶりを抑える効果があるので、多動性障害(ADHD)に対して使用されることもあるそうです。また、てんかんや熱性けいれんなどに対して発作を減らす効果も期待されています。
現在では小児だけでなく大人にも使われるようになり、主に神経系の症状に対して有効だと言われています。更年期障害などでイライラしやすい人、日頃から気が立って怒りっぽい人、不眠症の人、緊張しやすく筋肉がこわばっている人などさまざまな症状に対して使用されます。
抑肝散を服用することで緊張がほぐれ、中には肩こりの症状が和らぐ人もいるようです。気持ちの高ぶりを抑えて体をほぐすということは、質の良い睡眠を導き快活な明日へとつながっていくのです。
ただし抑肝散を使用する際、極端に胃腸が弱い人や食欲不振の人または下痢・嘔吐を起こしやすい人などは注意が必要です。抑肝散の成分のなかに胃もたれする性質をもつものもあり、長期にわたって使用する際は特に気をつけるようにしましょう。
7種類の成分とは?
抑肝散には自然由来の7種類の成分が含まれています。甘草(かんぞう)、柴胡(さいこ)、川芎(せんきゅう)、蒼朮(そうじゅつ)、釣藤鈎(ちょうとうこう)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)の7種類です。
蒼朮、茯苓には利尿作用などがあり体の水分循環を改善してくれます。川芎、当帰には月経調整作用もあり体のバランスも整えてくれます。釣藤鈎、柴胡、甘草には全て鎮痛・鎮静作用があります。
炎症を冷まして筋肉を和らげる効果、脳の循環をよくする効果、血のめぐりを改善して貧血の症状を治す効果、手足の震えを抑えたり動悸を沈めたりとたくさんの効果が期待されている漢方薬です。
抑肝散は神経症状を和らげる効果があるということで、認知症やパーキンソン病、躁うつ病などに対して補助薬として処方されることもあるようです。
服用するなら食後より食間
通常の成人で1日に服用する目安量は7.5gです。2~3回にわけて、食前や食間に飲むのが基本です。あくまで目安量なので、年齢や体重などによっても変わってきます。
そもそもなぜ空腹時に飲むのを想定して配合されているのかというと、漢方の吸収を良くするためです。食後に服用しても問題はありませんが、空腹時の方がより早く腸に到達するので吸収スピードが上がります。
とは言っても漢方ですので、効き目の即効性は期待できません。少なくとも2週間以上は様子を見ましょう。体と漢方の相性というものがありますので十分に効果を実感できる人もいれば、1ヶ月以上変化がない人もいます。
基本的には効き目がゆっくりだということを忘れずに、病院などと相談しながら長い目でみていきましょう。
まれに出る副作用
漢方薬というのは比較的副作用が少ないと言われていますが、全くないとうわけではありません。
食べ物に対してアレルギー反応があるように、漢方の成分である生薬にもアレルギーがあります。皮膚が赤くなったり湿疹が出来たり、吐き気や下痢、口内炎や咳が止まらないなど人によって症状はさまざまです。
また、抑肝散の成分でもある甘草を大量に服用すると「偽アルドステロン症」という症状があらわれる場合があります。だるさを感じたりむくみが出来たり、血圧の上昇や低カリウム血症という症状があります。
ごくまれに肝機能の障害なども報告されていますが、まずは自分の症状に合った漢方を見つけることが大切です。そのうえで使用方法などをきちんと守っていれば、きっと効果が得られると思います。
まとめ
漢方薬「抑肝散」で心穏やかに
抑肝散で肩こり解消!?
7種類の成分とは?
服用するなら食後より食間
まれに出る副作用