今年、 2015 年は 食事摂取基準 が公表される年でした。これを見れば、日本人がどの栄養素をどれくらいとれば良いかがわかるのです。5年に一度改定されることになっていますが、今年はどのような点が変更されたのでしょうか?
その主な 変更点 について、ご説明いたします。
ここが変わった!2015年の食事摂取基準の主な変更点は?
BMIを採用
エネルギーについては指標としてBMI(体格指数)が採用されました。BMI(体格指数)というのは体重を身長で二度割った数値のことで、日本肥満学会によると、18.5未満は痩せている、18.5以上~25.0を普通、25.0以上になると、肥満としています。
今までの一日に必要なエネルギー量というのは一人一人の体重の違いを考慮せずに設定されたものだったのですが、今年の基準ではBMIが、例えば20歳代の女性であれば、目標とするBMIは18.5~24.9ですというふうに設定されていて、カロリーではなく、BMIになったことが大きな変更点です。
生活習慣病の予防について
生活習慣病とは、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病などの病気のことですが、その生活習慣病の 発症を予防するために、ナトリウム、食物繊維、カリウムなどについて、その目標量を示しています。
ナトリウムの摂取量は男性が9.0gから8.0g~未満に、女性の場合は7.5gから7.0g未満に変更されました。
食物繊維については、今まで18歳以上であった目標量の設定が、6歳~17歳についても設定されています。6~7歳は11g以上、8~9歳は12g以上、10~11歳は13g以上、12~14歳は17g以上、15~17歳は19グラム以上ということです。
カリウムも食物繊維と同じく、6歳~17歳の目標量が設定されました。6~7歳が1,800mg以上、8~9歳が2,000mg以上、10~11歳は2,200mg以上、12~14歳が2,600mg以上、15~17歳は3.000mg以上になっています。
重症化予防を加えたこと
今の日本は高齢化が進んでいます。そのことを考えると、自然の流れと言えると思います。寝たきりになってしまうと、介護も大変ですし、介護師が不足しているという事実もあります。介護の負担を軽減することは医療費の削減にもつながります。
検診などで特定保健指導の対象となった人や受診を勧められたという人にもこの食事摂取基準をもとにして、適切な栄養指導をすることが望ましいということを示したのです。
たんぱく質の摂取量
今までの食事摂取基準にはたんぱく質については目標量を設定することはありませんでした。
しかし、たんぱく質やエネルギーの摂り過ぎによっては糖尿病発症のリスクも増え、心血管疾患やがん発症率の増加、骨量の減少なども考えられるので、エネルギー比率は13~20%を目標量として設定しています。
コレステロールの基準値
今回の食事摂取基準から、コレステロールの基準値の記載がなくなりました。この理由はというと、食事で摂取したコレステロールの量すべてが血中の総コレステロール値に反映されるというわけではないからです。
食物繊維とビタミンDについて
食物繊維については、小児にも目標量が設定されました。その理由としては、小児に関しても多くの研究がされてきたということと、小児のころから生活習慣病の予防を考えて、食事の習慣を作っておいたほうがいいのではないかと考えられたからです。
ビタミンDについては、もともとは日照時間の少ない乳児期、0カ月~5カ月の目安量と6カ月~11カ月までの目安量は分けられていたのですが、この分類がなくなっています。
今回の食事摂取基準では0カ月~5カ月と6カ月~11カ月までの目安量が同じ数値になりました。これは母乳の濃度に基づいて目安量を考えることは困難であると判断されたためで、あくまでもビタミンDの欠乏症であるくる病を防ぐために設定されたものであるということです。
まとめ
ここが変わった!2015年の食事摂取基準の主な変更点は?
BMIを採用
生活習慣病の予防について
重症化予防を加えたこと
たんぱく質の摂取量
コレステロールの基準値
食物繊維とビタミンDについて