DHAはアルファ-リノレン酸をから体のなかで合成される脂肪酸です。アルファ-リノレン酸は体のなかでは合成できない必須脂肪酸と呼びます。DHAもはアルファ-リノレン酸がなければ体のなかで合成することはできないので、必須脂肪酸の一部に含まれます。
そのためDHAを直接魚油などの食物やサプリメントの形で摂取するのは悪いことではありません。それでは、 DHA の 摂取量 はどれぐらいが適切なのでしょうか。
DHAの摂取量はどれぐらいが適切なのか
医薬品としてのDHAの摂取量
武田薬品工業の「ロトリガ粒状カプセル2g」中にDHAとEPAの合剤です。EPA+DHAで2グラム入っていることになっています。
効能効果は高脂血症です。用法及び用量は1回2グラム1日1回です。1日2回までは増量が認められています。すべてDHAと換算して考えると4グラムが最大摂取量となります。サプリメントを軽度の高脂血症を目的とすると2グラム以下が適切な摂取量と考えます。
食物としてのDHAの必要量
日本人とアメリカ人のアルファ-リノレン酸の摂取量はほとんど変わりません。しかし、DHAの摂取量は4倍となっています。
日本人の中央値は男性では1日あたり320ミリグラム、女性では230ミリグラムです。平均値と中央値には大きな差があります。大量にとっている人もいますが、不足している人がいるということです。
DHAが不足すると皮膚炎や成長障害がおこる可能性があります。
乳児ではアルファ-リノレン酸とEPAとDHAを合計したもの(以降オメガ-3脂肪酸)として基準哺乳量(780ミリリットル)から算出した1日あたり900ミリグラムが目安量となります。
母乳の不足分を人工栄養で補う場合や完全な人工栄養で行う場合にはこの目安量を確認することが必要です。
3歳以上14歳未満では1,500ミリグラムから1,700ミリグラムが必要ですが、15歳以上では2,000ミリグラム前後となります。
DHAの過剰量は存在するのか
DHAの過剰量に関する研究はないので、今のところ不明です。しかしながら脂質をすべてオメガ-3脂肪酸で摂取することはほぼ不可能です。疫学的な研究もあまりありません。
しかし、オメガ-3脂肪酸だけでエネルギー摂取をしてもタンパク質や炭水化物が不足するといろいろ問題がでてきます。
まず、脳は炭水化物の消化産物であるブドウ糖しか利用することができません。そのため、脳の働きが鈍ります。
タンパク質が少なくなると、筋肉に影響がでます。脂肪には飽和脂肪酸、N-6脂肪酸とオメガ-3脂肪酸があります。
飽和脂肪酸及びN-6脂肪酸は悪玉のようにいわれていますが、すべての脂肪酸をオメガ-3脂肪酸に置き換えると、いろいろなエネルギー生産に関与するコエンザイム-Aという物質が生産できなくなり、体力不足になります。
コレステロールも脂質の一つですが、肝臓での合成量に比べると食物からの摂取は少なくなっています。
従って、コレステロールを全くとらなくても肝臓での合成により補充されます。しかし、飽和脂肪酸やN-6脂肪酸をオメガ-3脂肪酸に置き換える肝臓のコレステロール合成の材料が不足するので、ホルモンができなくなるため、病気になります。
DHAの摂取が必要な場合
乳児の場合には神経の発達のためにN-3脂肪酸が必須になります。特にDHAが重要な働きをしているので必ず摂取する必要があります。
神経系の完成は3歳から5歳と考えられています。母乳がでない場合には人工栄養を用いる必要がありますが、人工栄養にDHAが入っていることを確認する必要があります。
母乳から離乳食、普通食に移行した場合には魚介系(DHAとEPA)、植物油系食品(大豆油などがアルファ-リノレン酸を含みます)、ナッツ系食品(胡桃には100gあたり9グラムのアルファ-リノレン酸が含まれています。エゴマでは24g、ごまでは150mg)となります。
40歳以上では飽和脂肪酸やN-6脂肪酸のとり過ぎによる高脂血症や高血圧などの生活習慣病のリスクが高くなります。オメガ3脂肪酸を1日2g前後はとる必要があります。
まとめ
DHAの摂取量はどれぐらいが適切なのか
医薬品としてのDHAの摂取量
食物としてのDHAの必要量
DHAの過剰量は存在するのか
DHAの摂取が必要な場合