乳酸アシドーシス という重篤な病態があります。血液に含まれる乳酸値の上昇によって発症にいたります。原因はさまざまですが致死率50%ともいわれ、発症すれば迅速な治療が必要です。
原因は何か、どのような症状なのか、そして回避するためにはどうすればよいのでしょうか。
乳酸アシドーシス、病態、症状、知っておくべきこと(前編)
乳酸値が上昇する
乳酸アシドーシスは血液に含まれる乳酸が上昇して発症します。健康な人の場合、血中の乳酸値は3.3mg/dlから14.9mg/dlの間とされます。血中の乳酸値がこれ以上に上昇すると乳酸アシドーシスが発症するおそれがあります。
判別するための検査方法
血中の乳酸値を検査して、18~45mg/dlなら、症状が悪化しないか慎重な経過観察とともにpHの低下なども検査されます。乳酸値が45mg/dl以上なら乳酸アシドーシスとして迅速に治療を開始する必要があります。
乳酸アシドーシスであるかどうかの判別方法として、血液ガス分析を行って血中乳酸値やpHを調べます。動脈血ガス分析でpHが7.35未満、血中乳酸濃度が5mmol/L(45mg/dl)以上の場合、乳酸アシドーシスと診断されます。
pHとは溶液の性質を示すための目安となる指数値で、溶液がどの程度、酸性、あるいはアルカリ性に傾いているのかが示されます。
アシドーシスとはどういう意味でしょうか
アシドーシス(acidosis)とは酸性血症という意味です。体が異常に酸性に傾くことを指しそれによってさまざまな症状が発生します。アシドーシスには、血液、あるいは体液が酸性に傾いて発生する代謝性アシドーシスと、呼吸性アシドーシスがあります。
代謝性アシドーシスは、代謝の低下が原因になります。体内の脂肪が分解されて発生するケトン体という物質があります。ケトン体は、3-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称で脂肪酸やアミノ酸の不完全代謝産物です。
健康な人の尿にはケトン体は見られません。しかし脱水症状を起こしていたり、妊娠悪阻(妊娠によるつわりがひどく、栄養状態が悪化している状態)になると尿中には排泄されたケトン体が見られるようになります。
呼吸性アシドーシスは、肺で行われているガス交換が何らかの原因で上手く行われなくなったせいで、体内に二酸化炭素が留まることになり血液が酸性に傾いてしまって発生します。肺胞の病気による呼吸不全、慢性閉塞肺疾患(COPD)、肺炎などが原因になる場合があります。
まとめ
乳酸アシドーシス、病態、症状、知っておくべきこと(前編)
乳酸値が上昇する
判別するための検査方法
アシドーシスとはどういう意味でしょうか