「乳酸アシドーシス、病態、症状、知っておくべきこと(前編)」では、乳酸アシドーシスとはどのような状態であるのかご説明致しました。後編では、 乳酸アシドーシス を引き起こす原因や症状、治療法についてご説明致します。
日常生活のなかでは、脱水症状が乳酸アシドーシスにつながる場合があります。
乳酸アシドーシス、病態、症状、知っておくべきこと(後編)
なぜ発症するのでしょうか
発症する原因はさまざまです。
脱水症状に陥ると乳酸アシドーシスが発症しやすくなります。脱水症状につながる下痢や嘔吐も乳酸アシドーシスの一因になる場合があります。
糖尿病の内服薬であるビグアナイド(BG薬)という治療薬は、肝臓で新しく作り出されるブドウ糖(糖新生)を抑えるはたらきを持っています。また、ブドウ糖を腸から吸収するはたらきも抑制します。
このBG薬の投与がきっかけとなって、まれに乳酸アシドーシスが発生する場合があります。つまり、この場合は薬の投与による副作用で乳酸アシドーシスが起ったのです。
また、画像診断検査(CT検査)のときに投与されるヨード造影剤が、BG薬を投与されている人に投与された場合、乳酸アシドーシスが発生する場合があります。診断や検査を受ける前に、医師や看護士に必ず服用している薬を伝えるようにしましょう。
悪性腫瘍、肝疾患、敗血症、褐色細胞腫、ビタミンB1欠乏症、尿毒症などの疾患から乳酸アシドーシスが続発する場合があります。
実際の症状
血中の乳酸が増える、つまり血液が酸性になることで発生する症状としては、腹痛、嘔吐、悪心、下痢、倦怠感、筋肉痛、過呼吸、傾眠(意識障害の一種で周囲が刺激をあたえると覚醒するが、意識が混濁する状態)、昏睡状態、ショック状態、全身痙攣(筋肉の痙攣)、クスマウル呼吸(異常な呼吸パターンの一種で、吸気の方が呼気より長いといった深い呼吸が規則正しく続く症状)などが見られます。
致死率は50%とされるため迅速で適切な処置が必要になります。
さまざまな治療方法
治療方法としては、血中のpHを改善するために重炭酸ナトリウム液を投与する方法などがとられます。また高血糖を伴う事例では治療にインスリンが用いられる場合があります。人工透析、トロメタン、ジクロロ酢酸などが使用される場合もあります。
乳酸アシドーシス避けるためにはどうすればよいのでしょうか
医学的に言えば、乳酸アシドーシスはさまざまな原因から発症します。端的には乳酸アシドーシスを避けるために、その原因となる問題をできるかぎり取り除くということです。また症状を早く見つけて迅速に対処することも求められます。
避けるための方法として、薬物による治療を受けている人、例えば糖尿病治療のためのBG薬を投与されている人などは、他の薬物を処置される際には、必ず事前に何の薬を何の治療のために服用しているのか伝えるようにしましょう。
副作用による乳酸アシドーシスを避けるためです。脱水症状が乳酸アシドーシスにつながる場合があることを知っておきましょう。日ごろからこまめな水分補給を心がけましょう。
また、体調不良の場合は放っておかずに対処し、状況によっては専門家の診察を受けるようにしましょう。
まとめ
乳酸アシドーシス、病態、症状、知っておくべきこと(後編)
なぜ発症するのでしょうか
実際の症状
さまざまな治療方法
乳酸アシドーシス避けるためにはどうすればよいのでしょうか