脂肪を過剰にとると体は脂肪を体内にためてしまいます。また、若い頃に運動している人が40歳代になると運動量が減ると、体の形はあまり変わりませんが、筋肉は脂肪に置き換わっている場合があります。
脂肪は体重増加によって膝などに負担をかけるだけでなく、脂肪をためるのは脂肪細胞ですが、脂肪細胞がたまりすぎると体に悪い成分を放出することが分かってきました。
皮下脂肪 と 内臓脂肪 の違いと危険性について説明します。
皮下脂肪と内臓脂肪どちらが悪者?
皮下脂肪と内臓脂肪のもともとの働き
脂肪細胞からできている脂肪組織は、主に皮下(皮膚の下層部)と内臓の周りにもあります。体脂肪率は体を鍛えることによって10%以下にすることは可能ですが、0%にすることは不可能です。
人間は恒温動物(常に体温が一定な動物)ですので、外の温度と体温には常に差があります。皮下脂肪は暑さと寒さから体を守る断熱材になります。内臓脂肪は内臓をその位置を変化しないような詰め物と、即効性の栄養の蓄えとして機能しています。
男性と女性の違い
男性ホルモンの働きによって皮下脂肪よりも内臓脂肪がたまりやすくなります。従って、男性は内臓脂肪がたまりやすく、女性は皮下脂肪がたまりやすくなっています。男性でも男性ホルモンの働きの悪い人は皮下脂肪がたまりやすくなっています。
男性にも更年期(ホルモンバランスが変化する)時期があります。これは男性ホルモンが減る状態です。女性の更年期は女性ホルモンと男性ホルモンが一定の割合になると終わります。男性の場合は男性ホルモンが減り続けることから、治療をしない限り徐々に悪くなっていきます。
皮下脂肪が過剰にたまるとどうなるか
皮下脂肪の特徴は皮下にあるので、皮下脂肪がたまると外見から皮下脂肪が増えていることがわかります。お腹の周りや二の腕の脂肪細胞に脂肪がたまりやすくなっています。皮下脂肪は過剰な脂肪をためますが、その脂肪は熱を作るためにしか使えません。
皮下脂肪には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。白色脂肪細胞は脂肪をためる機能しかありません。褐色脂肪細胞は熱を作るために脂肪を燃焼します。
皮下脂肪は体重増加の原因だけでなく、運動機能の低下を招きます。さらに下層の皮下細胞が増加することによって、皮膚のたるみや膨張を引き起こします。皮膚が伸びて縮むと皮膚に跡が残るのは妊娠線ができるのと同じ働きです。
ダイエットによる皮下脂肪を減らすことができた場合に皮膚にたるみやシワができることがあります。ダイエットによって多量の皮下脂肪を落としたりすると皮膚に跡が残る場合があります。
内臓脂肪が過剰にたまるとどうなるか
内臓脂肪はエネルギーが不足すると、エネルギー補給に使われることから比較的とりやすい脂肪と考えられています。しかし、内臓脂肪は外見から確認することは不可能です。
内臓脂肪からは血圧を上昇するホルモンやインスリンの感受性を下げる作用や、LDLコレステロール血症や高トリグリセライド血症の原因となるホルモンを放出することがわかっています。つまり、内臓脂肪がたまると高血圧、糖尿病、異常脂質代謝症を引き起こす可能性があります。
内臓脂肪が過剰にたまっているかを診断するにはCTなどの検査器械を使う必要があります。しかし、腹囲がその代わりの指標(サロゲート指標といいます)このことからメタボリックシンドロームの検診で腹囲を測るのはそういう意味です。
悪者はどっち
女性で体型を保ちたい人にとって皮下脂肪は最大の敵でしょう。しかし、生命に影響があるのは内臓脂肪です。内臓脂肪は、有酸素運動やエネルギー摂取の脂肪の割合を減らすことによって、比較的簡単にとることがあります。
メタボリックシンドロームで腹囲に問題があると指摘された人は素直に運動と食事の見直しを考えるべきです。検査のときは高血圧、糖尿病、異常脂質代謝症(三大生活習慣病)がなくても、内臓脂肪をそのままにしておくと後々に発病する可能性があります。
また既にいくつかの生活習慣病が発症している場合には、悪化する可能性が高くなります。三大生活習慣病のうち二つ以上が合併していると死亡リスクが非常に高まります。また、薬剤治療に対する反応性が落ちてしまいます。
結論を述べると「悪いのは内臓脂肪」です。
まとめ
皮下脂肪と内臓脂肪どちらが悪者?
皮下脂肪と内臓脂肪のもともとの働き
男性と女性の違い
皮下脂肪が過剰にたまるとどうなるか
内臓脂肪が過剰にたまるとどうなるか
悪者はどっち