何らかの病気で入院した場合には医師の判断により、減塩食を選択する場合があります。特に収縮期血圧が150mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上である場合には 減塩食 を選択する可能性が高くなります。
妊娠中毒とかつて呼んでいた妊娠高血圧症候群でも減塩食を選択します。
減塩食の内容と減塩内容について紹介し、高血圧以外の人に有用かどうかの議論を紹介します。
減塩食は高血圧症以外の人にも必要か
減塩食の意義について
食品表示でナトリウム量を表示しています。ナトリウム量400mgが食塩1gに相当します。ナトリウムは体の中で、細胞が縮みすぎたり、膨らみすぎたりして細胞を壊れるのを調節しています。
また、ものの熱さや冷たさの刺激を脳に伝えたり、脳からの命令を筋肉に伝えたりする神経細胞の伝達にナトリウムが必要です。
そのため、腎臓が体の中のナトリウム量を一定にするために働いています。高血圧になると血圧を下げるために、食塩量を減らすことで高血圧に効果があることが、動物実験、観察試験、介入試験で明らかになっています。
つまり、減塩食にすることに血圧が下がると言うことです。また、血圧を下げるだけでなく、心血管病死亡率を下げることが人を対象とした観察試験、介入試験で明らかになっています。
減塩食は血圧の高い人にお勧めか?
減塩食が血圧の高い人の心血管病死亡率を下げることが多くの観察試験で明らかになっています。つまり、実際に血圧を下げるばかりではなく、心血管病死亡率を下げるという、本来の高血圧病の治療目的を果たしているということです。
世の中には血圧を下げる薬物はたくさんありますが、複数の介入試験で心血管病の死亡率を下げることが明らかになっているものはほとんどありません。
単独の試験では死亡率の低下が明らかにしたものがありますが、食塩のように結果が否定的な試験と肯定的な試験を統合してその結果が肯定的という高いエビデンスレベルを持っているものはほとんどありません。
薬剤を特定せずに、高血圧の治療を行っている人とそうでない人を比べた観察試験では明らかに心疾患による死亡率が下がっているので高血圧薬をきちんと飲むことは必要です。
血圧が正常な人に減塩食は必要か?
日本高血圧学会では1日の食塩摂取量を6g以下にすることを推奨しています。
50歳で血圧が正常な人でも老化により50%以上の人が高血圧になることと日本人の食塩摂取量が平均10g前後なので、減塩することにより心血管病による死亡率が低下する可能性があるので減塩食を勧めています。
かつての日本では脳血管障害が多発しており、それが低下したのは食塩摂取量の低下によることが明らかになっています。心疾患による死亡率も欧米に比較すると低くなっています。
しかし、心疾患による死亡率は欧米に近づいていることから、食塩の摂取を抑える必要があります。
食塩感受性高血圧とナトリウム喪失
腎臓の機能が低下すると、ナトリウムの排泄能力が低下して食塩感受性高血圧になりやすくなります。しかし、強力な減塩は腎臓のナトリウム保持能も低下していることから、必要以上にナトリウムを失う可能性があります。
ナトリウムの喪失は細胞内からナトリウムの喪失や神経伝達の働きが鈍くなり危険な状態を招きます。しかし、この状態に陥るのは1日あたりの食塩摂取量が2g以下の減塩ですので、1日あたり6gの減塩では特に問題は起こりません。
しかし、妊婦、幼児、高齢者、腎臓障害のある場合や糖尿病の場合には医師との相談が必要です。
まとめ
減塩食は高血圧症以外の人にも必要か?
減塩食の意義について
減塩食は血圧の高い人にお勧めか?
血圧が正常な人に減塩食は必要か?
食塩感受性高血圧とナトリウム喪失