ストレスチェック の 義務化 は、精神障害の労災認定件数の増加を背景に、厚生労働省は「労働安全衛生法」で、創設したものです。ストレスチェックの義務化は平成27年12月1日施行となりました。
ストレスチェックの目的は労働者のメンタルヘルスの一次予防です。一次予防とは生活習慣の変更等により病気の発生を予防することです。検診による早期発見や重症化を防ぐ場合は二次予防と呼びます。
具体的には労働者自身が自分のストレスを把握すること(気づきと呼んでいます)事業者には個々の労働者のストレスが重症化しないように処置をすることと、労働者の集団で職場環境により問題が発生していることを分析と把握を行い改善することが義務となっています。
ストレスチェックの義務化の内容と問題点
ストレスチェックの義務化の背景
精神障害の労災認定件数が平成21年度234件、平成22年度308件、平成24年度475件と3年連続で過去最高を更新するなど、職場におけるストレスを放置できない状況にあります。
それまでの労働安全衛生法は時間外労働の制限により対応していましたがそれでは不十分と言うことです。(平成25年度は436件、平成26年度は497件と増加傾向は続いています)
厚生労働省はその対策としてストレスチェックの義務化を創設しました。量の制限に加えて質に対する制限を加えるものです。
同一ストレスではヒトは同じ反応を起こすものではありません。ストレスチェックによって労働者が今のストレスに対してどのような反応を起こしているかをチェックすることです。
ストレスチェックの義務化の内容
事業者は労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師、保健師等(以下検査者)による検査(ストレスチェック)の実施が義務となっています。(50人以下の事業所では努力義務)
検査結果は検査者が本人に直接通知します。本人の同意がある場合のみ、事業者に提供することができます。事業者が受領した結果は事業者が5年間保管する義務があります。
本人の同意が無い場合には検査者が5年間保存することが第一ですが、事業者が保存担当者を決めて5年間保存することも可能です。
検査の結果、あらかじめ定めた基準を上回っている労働者から申出があった場合に、医師による面接指導を実施することが事業者の義務となっています。申出により、事業者の判断で労働者に不利益な取り扱いをすることは禁止です。
面接結果の結果に基づいて医師の意見を聴き、就業上の措置を必要に応じて講じることが義務となっています。また、ストレスチェック結果は集団ごとに集計・分析することは努力義務です。
ストレスチェックの問題点
健康診断の項目の中にストレスチェックを入れることは禁止となっています。これは、ストレスチェックを年一回実施するためには障害になり得ます。実際にはストレスチェックのシステムを導入して、ストレスチェックと結果の通知を自動的に行うことで解決している事業所もあります。
平成22年に行った全国労働衛生団体メンタルヘルス調査では25,919名が対象となっています。そのうち2,037人が面接対象(7.9%)となりました。実際に面接を受けた労働者は140名でした。そのうち13名が医療機関を受診する必要があると判断がでました。
健康診断では精密検査が必要かどうかを判断するのは医者です。診断は医者でないとできないことです。従って、システムから医師の面談を受ける必要のあるヒトの抽出は可能です。しかし、判断を行ってよいかどうかはグレーな部分です。
厚生労働省は結果が数値であることから、メンタルテストの結果出力と面接の必要性については可能と判断しています。しかし、面接に関しては医師または保健士等が行う必要があるとしています。そのため、産業医や産業保健士の数が不足しています。
構造化面接などを取り入れて、「等」の部分を広げることを検討、実施予定となっています。
まとめ
ストレスチェックの義務化の内容と問題点
ストレスチェックの義務化の背景
ストレスチェックの義務化の内容
ストレスチェックの問題点