DHAとEPAはN-3系脂肪酸とよばれる必須脂肪酸です。脂肪というと冠動脈疾患を引き起こすと考えられがちですが、N-3脂肪酸には冠動脈疾患予防作用があります。
DHA と EPA の配合サプリメントにはいろいろな 効果 があるといわれています。その効果の確かさとともに紹介させていただきます。
DHAとEPAの効果は医学的に証明されているものは意外と少ない
高トリグリセライド血症
これは確実に効果があります。「ロトリガ粒状カプセル2g」という商品名で2013年1月から発売されています。適応症は高脂血症となっていますが、実際に使われるのは高トリグリセライド血症です。
粒状カプセル2g中にEPAが930mg、DHAが750mg入っています。標準的な服薬量は1日1回粒状カプセル2g1カプセルです。効果が弱い場合には2カプセルに増量することができます。
効果はEPA製剤を対象とした2重盲検比較試験により12週間投与試験で確認されています。1日1カプセル(朝)で約10%の血中トリグリセライドが低下しました。(これはEPA製剤と同じです)、1日2カプセル(朝、夕)では23%低下し、EPAと有意差がありました。
サプリメントではDHAとEPAの比率が違いますが、医療用医薬品の結果を見るとDHAとEPAの両方が配合サプリメントに効果がありそうです。DHAとEPAの1日量で考えると効果同じ効果を上げるには1日量としては少なくなっています。
しかし、サプリメントは高トリグリセライド血症の治療ではなく、予防に使われます。少ない量でも問題は無いのかもしれません。
脳における神経系の完成効果
生まれたばかりのときには脳内の神経系は完成していません。脳の神経系の完成にはDHA、EPAが必要であることがマウスの実験で明らかになっています。
また魚油の摂取量が多い日本人と少ないアメリカ人の知能指数を小学生で比較したところ、日本人で知能指数が高いという疫学研究があることから、小学生までのDHA、EPAをたくさん含んでいる魚油をとることはお勧めです。
しかし、中学生になるとその差は消えているので、頭がよくなるのではなく、神経系の完成速度がはやいと考えられています。
認知症の予防効果
神経細胞が再生することがマウスで分かり、神経系の成長を促進する作用が疫学的試験で確認されています。また、経口摂取され、血液を通して脳に到達できるのはDHAだけです。アルツハイマー型認知症の予防にDHAとEPAが効果を示すことが予想されます。
実際には70歳以上の人を対象としていくつかの二重盲検試験が行われています。効果があった試験もありますが、効果がない試験もありました。今までの試験結果を合わせて試験をまとめるという研究では、プラセボと変わらない結果となりました。
開始する条件が50歳から70歳と幅広く、DHA、EPAの用量も一定していないことから最終的な結論がでたわけではありません。
目に対する効果
網膜の脂肪の半分以上がDHAとなっています。このことから視力の回復に有用という意見があります。
小学生には効果が実証されていますが、中学生以降では効果はプラセボと変わりません。これは視力を調節する神経の発達を助けることが大きく働いていることを示しています。
視力が完成するには遅いと小学6年生までかかります。
うつに対する効果
DHAやEPA(特にDHA)が脳のホルモンに影響することが分かっています。
そのため、ストレスに対する耐性やうつや不眠症状の改善を期待して試験が行われましたが、プラセボと変わらないという結果でした。
これはうつ関連の場合にはプラセボ効果(効果がないものをのんでも効果がでる)が高い疾患ですから、最終的な判断は難しいものとなっています。
冠動脈疾患予防効果
戦後すぐに行われた7か国共同の大規模疫学試験では、ギリシャと日本人で魚油からの脂肪摂取量が多く、冠動脈疾患の予防効果が示されました。
その後ギリシャの食事は地中海式の食事として健康的な食事法として世界中に広がりました。日本ではその内容が変化することによって、冠動脈疾患が増えてしまいました。
まとめ
DHAとEPAの効果は医学的に証明されているものは意外と少ない
高トリグリセライド血症
脳における神経系の完成効果
認知症の予防効果
目に対する効果
うつに対する効果
冠動脈疾患予防効果