生活習慣病 (lifestyle related disease)とは生活習慣が発症病因に深く関与している病因の総称です。この場合の生活習慣等は、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒、その他を指します。
生活習慣病の 種類 には高血圧、2型糖尿病、肥満、脂質異常症があります。がんに関しては食生活による大腸がんは食生活が主な原因になっていること、肝がん、子宮頸がんはウイルスが原因になっていることか生活習慣病には含まない場合があります。
今回は高血圧、2型糖尿病、肥満、コレステロール異常症を取り上げます。
死に至ることもある生活習慣病にはどんな種類があるのか
高血圧
薬剤による高血圧や腎臓病や肺疾患など薬剤を止めることや元の病気を治すことによって正常に戻る者は生活習慣病の高血圧とは呼びません。
かつては本態性高血圧と呼ばれていたときもありました。これは原因が不明であることと、いろいろな作用機序の薬がそれぞれ血圧を下げることがわかっていたからです。
しかし、疫学的な研究から血圧を下げることによって、心臓病による死亡する確率が下がることがわかってから、血圧を下げることは重要なことであることが認識されました。
過剰な塩分による高血圧の場合は心臓疾患よりも脳出血での死亡確率が高まるということが日本での平均塩分低下による脳出血の死亡が減ったことにより明らかになりました。
しかし、心臓疾患の死亡率を下げるには、WHOとしては1日5gを推奨しています。わかりやすいように食塩としての量と記載されていますが、問題となるのはNaです。
従ってアメリカでの食品表示としてはNa量(アメリカではソジウムと記載されています)。日本の場合には出汁が推奨されています。出汁の中にもNaが含まれていますが、Clに当たる部分がグルタミン酸などの大きな分子なので、おなじおいしさが得られるという発想です。
糖尿病
糖尿病の場合には砂糖のとり過ぎとインスリンの活性低下のどちらかが原因となっています。薬剤治療ではインスリン活性の上昇を目指したものと、砂糖の排泄を促進する者があります。
糖尿病の怖いのは突然死よりも合併症です。糖尿病の三大合併症と呼ばれる網膜症、腎症、神経症状です。網膜症の場合には失明の可能性があり、腎症の場合は透析に陥る可能性があります。神経症の場合には壊疽となって手足を切断する可能性があります。
肥満
メタボリックシンドロームとも呼ばれます。世界では圧倒的にアメリカでの比率が高くなっています。
日本では40代~60代の男性と閉経後の女性です。思春期から30代までは肥満よりも栄養不足が今新しい問題として出てきています。そのたま、諸外国ではBMIの程度がるいそう(痩せすぎ)のモデルはモデルとしての仕事ができなくなっています。
肥満には内臓脂肪の蓄積と皮下脂肪の蓄積によるものがあります。皮下脂肪には2種類あって自分で脂肪を燃やして熱を発生する褐色細胞と脂肪をためておくだけの脂肪があります。
内臓脂肪は、あまった脂肪をすぐ使えるようにするための一時保管場所の様な者なので、食事療法や運動療法に比較的反応します。
皮下脂肪の場合には褐色細胞で体を温める状況におくことが必要ですが、実際には難しいことです。現在では褐色細胞を活性化する方法や、白色細胞を褐色細胞に変化する方法が研究段階にあります。
脂質異常症
脂質異常症には高LDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症の3種類があります。高LDLコレステロール血症には、コレステロールの合成を止めるスタチンという薬剤が有効です。心疾患の死亡率も下げる効果が確認されているものもあります。
コレステロールの量は体内で合成する量が食事よりも多いことがわかっており、コレステロールの食事制限はあまり意味がないことが最近明らかになりました。
高トリグリセライド血症は食物からとる脂肪のとり過ぎによるものです。本当に高トリグリセライド血症の影響を見るためには食前と食後のトリグリセライドを測定する必要があります。
脂肪の中でも有害なオメガ6系の脂肪とオメガ3系の脂肪(αリノレン酸)があります。高トリグリセライド血症の場合にはオメガ3系の脂肪が薬剤として使用された時期がありましたが、あまり効果は期待できないことがわかっています。
又、とり過ぎた場合の危険性を検討する必要があるということが、アメリカと日本の当局から注文が出ています。
生活習慣病の合併
肥満だけの場合には死亡率はそれほど増えませんが、後2つ合併症が存在すると死亡率は5倍以上になるため、まず痩せることが必要です。それに伴い、高血圧や糖尿病、脂質異常症も軽くなる場合があります。
タバコに関して
タバコに関しては、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症をそれぞれ単独だけ罹患しているよりも死亡率が高くなることがわかっています。
しかしながら、タバコの使用量は毎年減っているのに肺がんの死亡率やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の発生率は減っていません。このあたりは、タバコに対する疫学的な研究を見直す必要があるのかもしれません。
まとめ
死に至ることもある生活習慣病にはどんな種類があるのか
高血圧
糖尿病
肥満
脂質異常症
生活習慣病の合併
タバコに関して