日々の疲労やストレス、災害時に問われる衛生面の悪化、そして世界的な感染症パンデミックの恐怖まで。我々を取り巻く環境から自分と家族の身を守るために、健康管理にも“予防”の概念が重要です。
免疫力を高める食材 を意識的に摂るようにこころがけることで、あらゆる病気に対する罹患率を下げ、いざという時の回復力へと繋げることができます。
免疫力を高める食材を効率良く摂取する!(前編)
ヒントは腸内環境
“免疫力”とは、やむを得ず体内に取り込まれたウィルスや病原菌等の異物と闘い、細胞を守ってその異物を排出しようとするシステムを指します。
良いものを取り込むことと、悪いものを追い出すことは同じくらい大切であり、その両方の機能を司っている消化器官が胃腸にあたります。
胃腸を健康に保つことで、白血球やマクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞などの有効な免疫細胞の酸化を防ぎ、闘う準備を整えることができます。
消化を助ける食材の一例
整腸には、消化と、環境維持のふたつの段階があると言えます。まずは消化を促すことで免疫力向上に役立つ食材をいくつかあげましょう。
梅干は、殺菌作用や解毒作用があることで知られ、クエン酸がエネルギー代謝を活発にし、中性脂肪等を体内に残りにくくしてくれます。
消化酵素ジアスターゼを含有する大根も免疫力の向上に一役買い、大根おろしにすると効果が増します。
ポリフェノールの一種でビタミンPとも呼ばれる抗酸化成分ルチンは蕎麦に含まれる健康成分として有名です。ルチンはビタミンCの吸収を促進して毛細血管を強化し、血圧を下げる作用が免疫力向上に繋がります。
ネバネバした食品は消化促進に貢献しますが、もずく、ワカメ、昆布などの海藻に多く含まれるフコイダンが抵抗力を高めます。
オクラや長いも、卵の白身やうなぎにも含まれるムチンのぬめりは、蛋白質の分解を助け、粘膜を保護できる成分。ムチンは人の体内でも活躍し、例えば胃腸の内壁もその粘液で守られているのです。
納豆には納豆菌(ナットキナーゼ)という免疫力を高める成分が含まれますが、納豆菌の効果が胃腸の中で胃液によって相殺されないのはムチンのおかげです。ムチンは風邪の予防や、花粉症の改善にも効果が期待されています。
乳酸菌の豊富な食材の一例
腸内に住む100兆個以上の細菌の集合体(腸内フローラ)における善玉菌を増やし、バランスを良好に保つことで、腸内環境を維持し、免疫力を向上させることができます。そのために食生活に取り入れやすいものの代表格が乳酸菌です。
乳酸菌といえばヨーグルトですが、納豆、醤油、味噌といった大豆加工食品や、漬物にも乳酸菌が含まれます。
キムチも乳酸菌が豊富で、塩こうじやチーズでも乳酸菌が摂取できます。発酵食品が健康に良いとされる理由がここにありますが、実は日本酒やワインにも、乳酸菌が含まれています。
その乳酸菌の効果を高め、善玉菌を増やす食材には、オリゴ糖を多く含むタマネギやじゃがいも、キャベツなどの野菜があげられます。
リコピンの豊富なトマトや、βカロテンを含有する人参やカボチャなどの抗酸化成分を多く含む野菜も有効。
食物繊維が豊富な根菜、ナッツ類、果物、蒟蒻も適量であれば優れた整腸作用が期待できますが、善玉菌を定着させることにも貢献するのです。
まとめ
免疫力を高める食材を効率良く摂取する!(前編)
ヒントは腸内環境
消化を助ける食材の一例
乳酸菌の豊富な食材の一例