「外部から侵入してくる異物をやっつける仕組みが免疫です(前編)」では、免疫の種類や白血球の役割についてご説明いたしました。後編では、 免疫 の仕組みについてご説明いたします。免疫機能はどのようにして作られ、またどのようにして自己と非自己を認識するのでしょうか。
外部から侵入してくる異物をやっつける仕組みが免疫です(後編)
免疫は自己と非自己をどのようにして見つけるか
獲得免疫で働くのはT細胞と呼ばれるものです。このT細胞は、骨髄で産生されたT細胞前駆細胞が胸腺で分別された後に、分化成熟したものです。自己と非自己の分別能力は胸腺で作られます。
胸腺では自己に対して攻撃性を持つものは、細胞死(アポトーシス)に誘導されて死亡します。つまり、胸腺が自己攻撃性のあるT細胞になるものを取り除く働きをしています。
抗原産生は一生続くのか
インフルエンザワクチンは毒性を抜いた抗原を注射することによって、抗体を作り本物のインフルエンザウイルスが侵入したときに、インフルエンザワクチンによって産生された抗体によって発病を防ぐものです。
そのため、インフルエンザの型が違うと、ワクチンによってできた抗体はウイルスを認識することができません。
また去年もインフルエンザにかかったのに今年もインフルエンザにかかったという場合もインフルエンザの型が異なるからです。
現在のところ、抗体の産生能力は一生続くと言われていますが、骨髄機能が低下している状態では抗体の記憶があってもT細胞を産生することができなくなるので、免疫力は落ちてきます。
抗体はどのように働くのか
抗原を発見した抗体は、抗原と結びついて抗体抗原反応を起こします。これは炎症を起こす情報を体に流すものです。この抗原抗体反応がどのように停止するのかは、2000年代に入ってから明らかになりつつあります。
T細胞の働きを止める抑制型T細胞の発見です。この抑制型T細胞が抗原抗体反応を適切な状態で停止する役割を持っています。
抗原抗体反応の副作用
抗原抗体反応は過剰な反応を起こすとアナフィラキシーショックや皮膚の発赤などのアレルギー反応を引き起こします。花粉症も花粉を異物とした抗体抗原反応が過剰になったものです。
また、1型糖尿病の一部や自己免疫病と称される病気は、自己と非自己の区別がつかなくなった免疫が自己を攻撃することによって起こる病気です。
副作用の原因は、抗体の過剰生産、抗体からの炎症反応の過剰放出、抑制系T細胞の活性不足と考えられていますが、明らかにはなっていません。対症療法的に、抗体から出る炎症反応物質の受容体を塞ぐ薬が花粉症に用いられています。
抗原抗体反応を適切にするためには減感作療法というものもあります。少量の抗体を連続的に摂取することです。
まとめ
外部から侵入してくる異物をやっつける仕組みが免疫です(後編)
免疫は自己と非自己をどのようにして見つけるか
抗原産生は一生続くのか
抗体はどのように働くのか
抗原抗体反応の副作用