漢方薬以外の一般的な薬剤は医師が処方して、薬剤が調剤して患者に渡すのが一般的です。
漢方薬の場合には漢方薬を専門にしている医師が少ないために 漢方薬局 の資格を持つ人が処方し、漢方薬を専門とする薬剤師が調剤する場合と専門学校あるいは資格を取った人が処方と調剤を行う漢方薬局と呼ぶものがあります。
3つめは普通の薬局やドラッグストアで販売しているものです。
漢方薬局では日本の規制の中では存在しません。
漢方薬とは患者の証に応じて処方が決まります。
日本においては患者の体質である「証」を明らかにして、望診、聴診、問診、切診を行い、漢方薬の種類である「陰陽と虚実」を決定します。そして「君臣佐使」という概念の元に生薬の配合を決定します。
「君」とは処方全体の作用の方向や副作用の軽減・消去などを目的として配合します。
「臣」は「君」の薬の働きを増強します。「佐・使」は実際の治療効果を示すものです。
「佐・使」は西洋薬の有効成分に近いもので、「君・臣」は西洋薬ではテーラーメード治療に似ています。たとえば、シスプラチンの制吐剤の様に副作用防止薬が最初から同時に投与されるようなものです。
また、最近DNA解析が1人あたり四万円弱でできるようになったことから、DNA解析が進んでおり、体質により薬剤を変える場合があります。
北里大学東洋医学総合研究所
北里大学東洋医学総合研究所では西洋医学に加えて、漢方を専門として、望診、聴診、問診、切診といった東洋医学の伝統的な診断方法に基づいて治療を行っています。西洋医学ではなかなか薬が奏効しない人が外来治療を受けに来ます。
診療医は日本東洋医学会専門制度の指導医資格を有するものが多くなっています。また、西洋医学による診断が必要となった場合には、北里研究所病院との連携により診断を受けることが可能になっています。
生薬に精通した薬剤師が生薬を管理しているので、生薬の種類は「多施設の追随を許さないと自負している」とのことです。
なお、生薬の品質が高く、服薬後の不調に対する相談、コストパフォーマンスの点から保健医療ではありません。自由診療となっています。
日本東洋医学専門医制度
日本東洋医学専門医制度とは、5年に一度更新される専門医制度の一つです。
日本東洋医学学術集会や支部の学術総会の出席、自己研鑽、日本東洋医学学会における論文掲載、日本医学会総会、和漢医薬学会、国際東洋医学会等への参加を点数化し、ある点数以上を満たしていることが必要です。
東洋医学(漢方薬)で治療した症例の報告書を提出すれば専門医と認定されます。
さらにその上に日本東洋医学認定医が存在し、専門医より必要な点数と症例報告が多く必要となります。
専門医の場合には「日本東洋医学会認定 漢方専門医」として広告することができます。認定医は専門医に比べてハードルが高くなっていますが、資格の広告はできません。
漢方専門医の限界
漢方専門医が、他の専門分野を有しており、漢方の方が良いと判断した場合でも漢方薬の処方は単純に処方することはできません。
日本の薬価制度では品質の観点から同一のものが販売されていることが基本となっています。しかもその配合での薬剤の効果が証明されて初めて薬価収載となります。
従って、あまり悪くない患者に漢方薬を処方する場合が多くなっており、「君臣佐使」の概念できちんと処方することはできません。
漢方薬局の意味
一部サプリメントには漢方薬が含まれているものもあります。しかし、これも「証」を無視した処方ですので、効果はきちんと漢方医師に診断を受けた上でのものに比べると低いものであるとしか言えません。
現在漢方専門医の数は2千人強で、非常に少なくなっています。それを補うのが漢方薬局の存在です。
漢方薬局の薬剤師の中には、漢方専門医と同等の漢方学の知識を持つ人がいます。そのような人が「君臣佐使」に基づいて、漢方薬を処方することになります。当然薬価制度の範囲外ですので、3割負担というわけにはなりません。
漢方薬剤の中には悪徳な漢方薬剤が存在するのも事実です。西洋薬剤で効果がなかったがんやリューマチに対して効果があるとして高価な偽物を販売する漢方薬局です。このような漢方薬局が存在することで漢方薬局の信用がなくなっている可能性があります。
悪質な漢方薬局を見分けるには、悪くなった場合にどこかの紹介病院を持っているどうかを確認しましょう。絶対治るからそんなことは不要だという漢方薬局員がいる場合には、すぐにその店を出た方が病気が治る確率が高くなります。
生活習慣病の治療に関しては、経験に基づいた(もしかした現在の西洋医学よりも正確な)診断を元にした漢方薬の治療は、テーラーメード治療に近いものなので、もっと積極的に使用できる保険制度が望まれます。
まとめ
漢方薬局では日本の規制の中では存在しません。
漢方薬とは患者の証に応じて処方が決まります。
北里大学東洋医学総合研究所
日本東洋医学専門医制度
漢方専門医の限界
漢方薬局の意味