体脂肪率を測定するには、体脂肪計(微弱な電気を流して、体の抵抗から体脂肪率を計算するものです)がよく使われています。しかし、体の中の水分量によって誤差が出ます。皮下脂肪の厚みから全体の脂肪を推定する方法があります。
今回は皮下脂肪を測定して体全体の脂肪を推定する方法を紹介します。 皮下脂肪率 は、どのように測定するのでしょうか。
体脂肪率と皮下脂肪率はどう違うの?
皮下脂肪率は痩せすぎの指標
皮下脂肪率は肥満の指標に使うことはあまりありません。栄養不良やタンパク質の消耗のために皮下脂肪率を測定する場合があります。
どちらかといえば痩せすぎの指標として用いることがあります。難民などで血液検査をすることが難しい場合に栄養状況を測定する場合に皮下脂肪率を算出します。
体脂肪率は肥満の指標
体脂肪率は肥満の指標の一つとして用いられます。脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪がありまます。
内臓脂肪が過剰になると生活習慣病と合併すると、心血管系や脳血管系、腎障害のリスクが高まるといわれています。皮下脂肪は美的観点以外、特に問題を起こすものではないといわれていました。
2011年の肥満症治療ガイドラインでは、内臓脂肪だけを測定するにはCTなどの高価な機械を使う必要があります。CTで複数の測定を行うと被ばくの危険もあります。
皮下脂肪も月経不順などの原因になり、重量によってロコモティブシンドロームのリスクを高めることから、両者を区別せず体脂肪率を危険因子として測定することと変更になりました。
皮下脂肪から体脂肪率を推定する
皮下脂肪の量は、皮膚をつまみ上げてキャリバーとよぶ皮下脂肪厚計の熱さを測定します。皮下脂肪厚から全身の脂肪量を推定する方法もあります。
青年やスポーツ選手の場合には、肩とひじとの中間部で上腕の後部(上腕後部)、肩甲骨下部(肩甲骨下角)を足したものを1964年につくられた永峰と鈴木の式にあてはめて算出します。
- 男性の式は体脂肪率=1.0913 - 0.00116 ×(上腕後部の皮下脂肪厚+肩甲骨下角の皮下脂肪厚)
- 女性の式は体脂肪率=1.0897 - 0.00133×(上腕後部の皮下脂肪厚+肩甲骨下角の皮下脂肪厚)
となります。式で得られた体脂肪率が男性では20%、女性では30%を超えると肥満と判定されます。
中年ではへそ横の部分での皮下脂肪厚を足す場合があります。
この測定方法は体調に関係なく測定できるので、体脂肪計よりも優れているといわれます。キャリパーで挟む圧力を1平方ミリメートルあたり10グラムになるように調整します。すぐに値を読み取らず、値が安定してから読み取ることが必要となります。
つかみ方によって誤差が出るので3回測定して、式にあてはめる数字には平均をとります。
家庭ではキャリバーがないので、測定部位をつまんで物差しで測定することで皮下脂肪厚をおおよその値をだして、体脂肪率をだすこともできます。
この方法の欠点は式が青年をもとにして50年以上前に考案されました。検診結果が蓄積されて式の訂正が必要かもしれません。
体脂肪計で体脂肪率を推定する
一般には体脂肪計が普及しています。体脂肪率は体脂肪計で測定することができます。これは微弱な電流を流して、その抵抗量から体脂肪率を計算から求めます。内臓脂肪と体脂肪を区別することはできません。
電流の抵抗を用いているので、体の中の水分量に影響を受けます。
体脂肪率を毎日計って変化を見るときには、体の中の水分量が一定の時間に測定することが必要になります。朝起きて排尿したときに常に計るのがおすすめです。
激しい運動後、入浴後、食直後には正しい値を得ることができません。発熱、むくみ、脱水の場合も正しい値を得ることができません。
皮下脂肪の役割
皮下脂肪は外部からの圧力に対するクッション、また寒さ対策の役割を担っているのであまり少なくすることはおすすめできません。皮下脂肪は内臓脂肪のように簡単には落ちないのはもともと必要からだという説もあります。
また皮下脂肪を脂肪吸引した場合には、体が脂肪を保管するために内臓脂肪をつくることも予想されることから、将来的に糖尿病や脂質異常症のリスクが高くなります。
まとめ
体脂肪率と皮下脂肪率はどう違うの?
皮下脂肪率は痩せすぎの指標
体脂肪率は肥満の指標
皮下脂肪から体脂肪率を推定する
体脂肪計で体脂肪率を推定する
皮下脂肪の役割