膵臓癌は発見が難しく、分かった時には手遅れだった…という話は聞いたことがありませんか?実際に超音波の検査だけでは発見が困難な事例が多くあります。最近はMRCPという検査が、人間ドックでも受けられます。
今回は、 MRCP検査 についての情報をまとめてご紹介します。
膵臓や胆のうを調べる、MRCP検査とは?
MRCP検査とは
MRI検査ならばご存知の方も多いと思います。トンネル状の装置の中に寝そべって受ける検査です。一見CT検査と似ています。CTはX線による検査ですが、MRIは電磁場を発生させて、生体を画像化します。
CTでは微量の被曝がありますが、その危険がないので何度でも撮影が可能です。骨は無理ですが、体内の各臓器、血管などをさまざまな角度から撮影できます。
MRCPは磁気共鳴膵胆管撮影法といい、MRI装置を用いた検査のうちのひとつで、胆のう、胆管、膵管を画像化する目的に絞った検査のことです。造影剤は必要ありません。後に述べるERCPに匹敵する検査であり、苦痛や合併症が少ないことが大きな利点です。
ERCPとの違いは
MRCPと比較されがちなのはERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)です。胆管や膵管の詳細な検査といえば、以前からこの検査が行われていました。胃カメラを胃から十二指腸、そして総胆管まで進め、その先端の細い管から造影剤を注入して胆管や膵管を撮影する方法です。
内視鏡的な所見や胆管像、膵管像などに加えて、隣接した他の臓器の病変まで確認できます。画像の精度が高いため膵炎や膵臓癌、胆のう癌、胆管癌など早期でも発見が可能な優れた検査として実施されています。検査をしたあとに、内視鏡的処置が行えることがメリットです。
ただし、検査後に膵炎を起こす可能性があり、検査自体も体への負担が大きいために、一般的に検診レベルで実施される検査ではありません。
実際の検査の流れ
検査の前は絶食です。食事をすると消化液である胆汁が分泌されるため、胆汁の溜まる胆のうが萎んでしまうからです。
水分は口を湿らせる程度であれば構いませんが、牛乳やジュースではなく、お茶や水にして下さい。あまり摂りすぎて腸蠕動が起こると画像の精度が落ちてしまいます。腸管の動きを抑える薬が使用される場合もあります。
検査着に着替えると検査室に入る前に、造影剤(といっても他の検査で使われる造影剤とは違います)を飲みます。この薬は甘酸っぱいレモンジュースのようなもので、バリウムを飲むような苦痛なものではありません。
この薬により画像として見たいところが白っぽく、見えなくていいところが黒っぽく映るようになります。飲まずに検査をする施設もあります。
検査中は大きな音がするためヘッドホンや耳栓を装着します。検査ベッドに体が固定されて、あとは横になったまま動かずにいるだけです。動くと画像が不鮮明になり、撮りなおすこともあります。
ドーナツ状の装置の中をベッドがくぐっていきます。途中何度か息を止めるように検査技師から声がかかるので指示に従ってください。検査時間はおよそ20分です。
検査を受けるときの注意点
通常のMRI検査を受けるときと同じです。ドーナツ状の装置からは、強力な磁力が発生します。
アクセサリー類、眼鏡、ヘアピン、腕時計、携帯電話などの持ち込みはできません。入れ歯や磁気治療テープ、補聴器なども外す必要があります。財布の中の磁気カード、診察券なども使えなくなる可能性があるので持ち込まないようにしてください。
入室できないのは体内に何らかの金属を埋め込んでいる人です。ペースメーカーの埋め込み、血管ステント術、脳動脈クリッピングなど過去に受けている場合には事前に伝えておく必要があります。
現在はMRIに対応したペースメーカーも開発されています。クリップもチタン製のものが増えていますが、古いものは磁力の影響を受ける材質の場合があります。人工内耳や可動型の義眼を装着している場合にも破損する可能性があるため検査を受けることができません。
妊婦にも検査は原則として勧められていません。現在は4か月未満の胎児への安全性が確認されていません。妊婦や妊娠の可能性がある場合には医師との相談が必要です。
閉所恐怖症やその傾向がある人も、どうしても我慢ができない時には途中で検査が中断されることもありますので注意してください。
まとめ
膵臓や胆のうを調べる、MRCP検査とは?
MRCP検査とは
ERCPとの違いは
実際の検査の流れ
検査を受けるときの注意点